身近な歴史をリアルに ～アルバムのカラー化 呉海兵団編 その６ 教育③ の続編となります。
旧漢字及び仮名遣いは、それを知らない方にも解るように改めています。
アルバム（昭和二年度志願兵 四等機関兵修業記念 呉海兵団）
剣道
「エイ」……と陽に開き「ヤッ」……と陰に閉づ
水を打った様な道場に今しも龍虎互いに雌雄を決す、
彼等の気概を見よ、意気を見よ、何れも一騎当千の
武者震いをしているではないか。
防具は個人貸与なのか共有だったのか、気になるところです。
周囲の待機者は全員正座していて、正座する機会が殆どない現代人には見ているだけで厳しそうです。。
柔道
をを勇ましき柔道姿。ああ猛練習が始まった。
ヤァ……と叫びて背負い投げ。なんと手並な。
手練だろう。ここあそこと組打が始まった。
ドタバタドタバタドタバタ。
男子の意気を示すは柔道だ。
後ろの額は君親師の文字のようです。
冷房などないでしょうから、これだけの人数が密集している中、柔道したりするのは熱中症とか大丈夫だったのか、ちょっと気になるところです。
陸上競技（徒歩競争）
「レディー」「オン ユワア マーク」「ゲットセット」てな
「モダン」式なことはやらない、
「用意」「ドーン」鳴ったが最後何物もない、
天もなければ地もない、人もなければ我もない、只渾身の努力あるのみだ、
最後の栄冠は最善の努力者に授けらる、
「テープ」は切られた、勝負の数は決まった、
ネルソンは言った、
！！余は余の任務を全うせり！！
徒歩競争と言っても、競歩の意味ではなく、昔は徒歩に走る意味もあったそうです。
陸上競技（バスケットボール）
高く「ボール」のあがるとき 瞳も続いて上りゆく
左右にかわす体と球 手より手にへと移りゆく。
敵と味方と入乱れ 鎬を削る真最中
ピーと号笛なりひびき 拍手の音は轟けり
ハット思いて我に帰し あなうれしやと見上ぐれば
球は戦局をつぐるごとく静に籠に入りにけり。
号笛とはサイドパイプを意味するようです。
どのような物かについては、下記商品画像をご参照ください。
敵味方をどこで区別しているのかちょっと気になりますが、写真からの推測だと帽子の色くらいでしょうか？
ポチップ
陸上競技（バレーボール）
プレイボール！！ 戦の幕は切って落とされた、
二十四名の勇士は敵と味方に別れて秘術をつくして闘っている、
前衛、中衛、後衛と守りは何れも金城鉄壁。
ねらい定めて打ち込んだスマッシング見事
敵畳を破ったと思いきや 敵もさるもの 軽く打ち返す
二〇対一九、勝負は益々佳境に入る、士気は緊張する、
！！我が軍の興廃此の一戦にあり、各員一層奮励努力せよ！！
バレーが始まった当初は何人でやるかのルールも定まってなかったそうですが、この当時は12人制でやっていたようで、その後9人制や6人制となっていったそうです。
敵畳とは、相手コートくらいの意味かと思われます。
行軍（浅野泉邸）
堅くるしい軍人生活を離れて、泉邸に遊び、
橋の上に座れば 呼びもしないのに、鯉が寄ってくる、
自然と間食の一つも投げて見る気になる。
あの赤いのにやろうか、あれか、これかと思っている間に鯉は
行ってしまう。あまりにも、自分の心を知らぬ鯉が、うらめしい。
浅野泉邸とは今の縮景園を戦前までそう呼んでいたそうです。
呉海兵団から縮景園まで往復約50キロ、徒歩で行ったとして約12時間、日帰り出来ない距離ではないでしょうが、さて。
軍艦旗
嗚呼勇ましくも崇高なる軍艦旗よ
我等は朝な夕なにこの旗を拝する
真実に護国の第一線にある任務の
重かつ大なるのを感じるのである
海行かばみづくかばね
山行かば草むすかばね
大君の 辺にこそ死なめ
のどには死なじ
「海行かば」は大友家持の万葉集からの歌となります。
これにて、呉海兵団編は終了です。
身近な歴史をリアルに ～アルバムのカラー化 海軍工機学校編に続きます。
