以前の記事で、あまり忠実な再生には拘らないと書きました。
筆者は盤面に傷があってブツブツ音がするようなレコードを聴いたり、モノラルラジオやテレビから流れる音楽を、家族に「おねがいだから静かにして!」と懇願しながらカセットレコーダーに録音したものなどを聴いたりしてきましたし(そう言う時に限って良く電話がかかってきたりする…)、
好みのアーティストのライブを何ヶ月も待ち焦がれ、そのライブで好きでたまらない曲のイントロが流れた時のインパクトや、テスト勉強しながら聞き流しているラジオ番組から、物凄くキャッチ―なメロディが流れてきて、思わず聞き惚れてしまった、みたいな記憶が強く残っていて、
スタジオ録音の音源を忠実に聴きたいと言う想いよりも、心から惹き付けられる音楽を楽しみたい、と言った想いの方が遥かに強いからです。
そうは言っても、モノラル音源よりステレオ音源の方が良いと思いますし、ノイズだらけの音源より、ちゃんとそれぞれの楽器やボーカルが聞き分けられる音源の方を好みますので、どこに拘りの主軸を置くかに過ぎないのかも知れません。
再生機器・メディアの遷移
元々、音楽も映像も、家族団らんの場であるリビングや、大勢の観客がいるコンサートホールや映画館で楽しむものでしたが、1979年のWalkman発売以降、まず音楽が個人かつ持ち出して楽しめるものになり、スマホの普及以降、映像も同様の道を歩むようになりました。
Walkman発売当時は、地方の普通の高校生にすぎなかった筆者は、欲しいなと思いながら入手する術もなく、家にあった比較的小型のモノラルテープレコーダーをスポーツバックに入れて、イヤフォンを片耳に差して、登下校時に音楽を聴いていました。
ただ、その行為でさえ片田舎の高校の通学路では相当目立ったようで、登校中にそこまで仲が良い訳でもない同級生が筆者の側に寄って来て、「ずいぶん突っ張ってるな」と捨て台詞を残して立ち去って行きました…
道行く人々のほとんどがAirPodsやそのコピー商品を耳に差して歩いている今からすると、ビックリするような時代だったのは間違いありません。
(当時親や祖父母におねだりして買って貰っていたのは、フォークギターやエレキギターで、あわせてお小遣いを貯めてエフェクターや楽譜を買っていました)
大学進学時に自宅を離れたのですが、その前の高校卒業後、初めて1週間ほどアルバイトをして、その収入で発売されたばかりのWalkman初のオートリバースモデルを購入しました。
今のようなエンドレスのストリーミングがある時代とは違って、音楽のメディアによって再生時間が制限されていたので、再生時間を少しでも長く出来る(カセットを入れ替える手間の無い)オートリバースは非常にありがたい存在でした。
なんとYouTubeに、ピカピカの稼働する初代オートリバースモデル(WM-7)の動画がありました!
このWalkman(WM-7)は縦方向に立てて聴くのが一番音が良いと何かで知ったため、普段から出来るだけその状態で聴くようにしていたのですが、今と違って有線のヘッドフォンしかなく、コードもあまり長くなかったため、首を振ったりするとコードに引っ張られて、本体がバタンと倒れたりするのが何気にストレスでした…
メカ部品が多い上に、使い方を想定した最適な設計がされていたでしょうから、外出時の利用シーンを考えれば、それは縦方向なんだろうと言うのは理解出来ます。
情報入手手段として、当時は既にテレビが新聞を抜いてトップだったと思いますが、一人暮らしをスタートするに当たって、優先順位として必要だったのは、筆者の場合、テレビより音楽でした。
最初は一人暮らしと言うか、集団生活である寮に住んでいたのですが、かなり制約があった生活に馴染めず、二年目からはアパートを借りて、念願のリアル一人暮らしとなりました。
その時にようやくステレオラジカセ(ミニステレオ)を購入し、帰宅した後はようやくヘッドフォンではなくスピーカーから流れる音楽を聴けるようになりました。
貧乏学生だった筆者がテレビを購入したのは、その後2年近く経った後、就活を始めるに当たって、リアルタイムのニュースも見ておく必要があるかなと考え始めた頃になります。
その後、時代と共に、Walkmanで聴くメディアはカセットテープから、MDを経て、デジタルデータとなり、デジタルデータのフォーマットもより解像度が高くなっていきましたし、自宅のステレオもカセットやレコードからCD、MDジュークを経由して、HDDプレイヤーから現在のアンプ+NAS&ストリーミングと言うスタイルに変遷してきました。
なお、筆者の場合、Amazon Musicなどのストリーミング再生は、在宅勤務のBGM的に流す事が多いので、わざわざアンプの電源を入れる事は少なくて、普段から電源が入りっぱなしのAlexa経由で再生する事が殆どです。
一方で、以前は自宅でも音楽を流しっ放しだったのに、YouTubeで色んな動画が提供されるようになってからだと思いますが、自宅では動画を流しっ放しとなり、あまり音楽を聴かなくなってしまいました。
今更ではあるのですが、最近YouTubeのおすすめで出て来た、京都橘高校吹奏楽部の動画にハマっていて、これは演奏だけでなく、パフォーマンスも込みだから見入っていると思いますので、まさにYouTubeゆえの視聴特性だなと感じています。
まだご覧になった事のない方は一度ご覧になって頂くとその凄さがお解りになるかと思います。
Newsweekの2023年8月22日号特集「世界が尊敬する日本人100」でも取り上げられています。
また、外出している時も、あれだけずっと音楽を聴いていたのに、転職で通勤時間が短くなったりしたのも理由の一つにありますが、いつからか常に聴いていたい音楽がなくなってしまったのも手伝って、とうとうWalkmanを買わなくなってしまいました。
(筆者はバッテリーを消費して、いざと言う時使えなくなるのを嫌って、スマホで音楽は聴かないようにしています)
と言うような事情もあって、筆者がここ数年で一番音楽を聴く場所は、ドライブ中の車内となっています。
フロントスピーカー
ステレオやアンプで音楽を聴く時は、出来るだけスピーカーを左右均等かつ、耳の高さに設置するのが良いとされますが、筆者のようにAVアンプを使っている場合は、アンプ側で多少のスピーカーの位置の差異は音の出力の仕方で調整してくれますし、ホームシアターをご利用されている場合などでは、基本的にスピーカーと耳との間には障害物は殆どないと思われますので、さほど目立った影響はないのではと思われます。
詳細はこれらを解説しているサイトに譲りたいと思いますが、概要だけご説明すると、高音は音の直進性が高いため、スピーカーと耳の間に障害物があると、良い音では聞こえにくい、と言うロジックによります。
低音は振動でも身体に伝わってくるため、高音に比べると設置場所を選ばず、サブウーファーが外付けの場合、どこに置いても構わないと言うのも、同様のロジックになります。
筆者はホームオーディオ用のスピーカースタンドはこちらを使用しています。
それまでリアスピーカースタンドとして使っていたのですが、pl5402-2p-07導入に伴い、ハヤミ工産 SB-65がフロントスピーカースタンドとなりました。
(それまではリアとフロントとの高さの兼ね合いから、SB-61をフロントスピーカースタンドに使用していた)
デザイン的にも現在使用している、流線形のスピーカー SS-K30ED に馴染んでいると思っています。
パソコンに外部スピーカーを付けたりしているような場合は、デスク上の障害物が音を妨げたりしないよう、多少は気を付けた方が良いと思いますが、その場合はそこまで音をシビアに聴かないケースなのかとも思います。
カーオーディオ
音の聞こえ方と言う意味で、スピーカーの位置によって最も影響を受けやすいのはカーオーディオだろうと思います。
オーディオをある程度意識したモデル以外は、通常、フロントドアの下方にフルレンジ用のスピーカーがついていますが、当然ながら高音が直接耳に届かないため、籠ったような音がすると思います。
これをカスタマイズしてツイーターを耳の高さにすると、音が驚くように鮮明になり、まるで目の前で演奏しているような音像になると思います。
こちらはまた改めて筆者のカスタマイズ例をご紹介できればと思います。
筆者が初めて車を買った1980年代は、車をカスタマイズするのはごく当たり前の時代でした。
標準装備されているのはラジオだけでしたので、JVCやKenwoodなどのカーステレオを取り付け、大径ハンドルをmomoなどの革巻ステアリングに変更し、スチール&ホイールキャップをアルミホイールに変更したりするのが、定番のカスタマイズでした。
当時の車のスピーカーはリアトレイに設置されていたので、良い音を楽しむ、と言う観点からすると、かなり厳しい状況でした。
筆者が最初に購入した愛車も、当然のように標準装備はラジオだけでしたので、最初はカー用品店に勧められるままに、三菱電機のカセットデッキを装着し、その後自分で色々調べるようになって、アルパインのヘッドユニットのデザインに魅せられて、新入社員の給料では中々ハードルが高かったのですが、ちょっと奮発して購入した事を覚えています。
当時かなり安かった中古車に乗っていたので、まさに一点豪華主義となっていました(汗)
筆者が購入したのはこのモデルではありませんが、今の目で見ても当時のアルパインのヘッドユニットは高性能を感じさせる秀逸なデザインと感じます。
(アルパインブランドストーリーより引用)
今の車は当時と比べると、ほぼ手を加える必要がない完成度になっていますので、昔に比べるとカー用品店も商売が難しい時代だろうなと思います。
カーオーディオの再生メディアもホームオーディオ同様に、レコードやCDをカセットテープにダビングし、またドライブ用の曲を選曲してテープにまとめたりしていましたが、それがCD単体からCDを複数枚収納できるマガジンタイプに変わったり(マガジン自体はトランクなどに格納)、MDになったりましたが、HDDになり、メモリメディアになったり、今ではスマホ連動したりして、ストリーミング再生も当たり前の時代となってきました。
以前は音楽のノンストップ再生など夢のまた夢だったのですが。
(つづく)