意外な感動作だった ~桜通信

鎌倉高校前駅画像
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この遊人って作者の他の作品、ほとんどエロの世界なんですが、この手のマンガもその内規制の強化でふらりと立ち読みとか出来なくなるのかな、と思ってブックオフでぶらぶら色んな本を眺めてた時に、他の作品と一緒に買ってみたんですね、「桜通信」
作者はデッサンが綺麗だし、美少女を、しかもエッチな雰囲気を描かせたら一品で、この「桜通信」も期待に違わずかなりエッチなシーン満載なんですが、後半意外な展開で、とても感動したので書き残しておきます。

桜通信 コミック 画像

最初の方のあらすじは江川達也の「東京大学物語」と似ていて、ちょっと妄想癖のある自己中な受験生である登場人物と、なぜか彼を慕うピュアすぎるほどの純真なヒロインが巻き起こすラブコメ、とごく大雑把に言えばそんな感じです。
(実際に「東京大学物語」と似ていると問題になった事があるそうです)
ちなみに、筆者は「BE FREE」が好きで江川達也を読んでいて、「東京大学物語」も途中までは読んでたんですが、完読してない気がします。
女の子は、江川達也や江口寿史より遊人の方が可愛くかけてる気がしますね。

さて、この主人公のトンマちゃん、とてつもなく優柔不断で、自分勝手で、自己陶酔してばかりで、もう読んでて腹立たしくなるほどなんですが、ヒロインの麗ちゃんのまっすぐな気持ちがいじらしくて、ついついストーリーの先が気になってしまいます。


筆者が買ったのは文庫版で、どこも三巻までしか置いてなかったのでそれで終わりだと思ってました。
で、三巻最後まで読んでも、ストーリーが途中っぽいんですね…
調べてみると文庫版は三巻までだけど、単行本は二十巻まで出てる(笑)

仕方ないのでネットでまとめて大人買いしちゃいました。
このけなげな麗ちゃん、最後はどうなるんだろうと気になったので。
届いたのが12月30日でしたが、元日1時過ぎくらいから、途中中断を挟んで、夕方までに既に文庫版で読んでた部分を除いた二十巻を一気に通読しちゃいました。
(正月早々何してるのかと…汗)

ホント、最初の内はすごく腹立たしく、ムカつく主人公ですが、途中から彼を恋のライバル視する男たちから、いくらマンガとは言え酷過ぎる、って仕打ちを何度も受けるようになります。
そして、それまでずっと目についていた、主人公の甘ったれた気持ちが途中から段々少なくなってくると共に、ようやく麗ちゃんの一途な思いに気付いて、それに応えようとするようになってきます。
二人の身の上はもちろん、友人達の身の上にも降りかかるいくつもの不幸や試練を乗り越えて、そしてようやく主人公は二浪の上、最後には念願の志望校に合格します。
この頃には、最初の頃の主人公とは見違えるような思いで麗ちゃんに接するようになっていて、それだけでも感動しちゃうんですよね。
ああ、麗ちゃん、良かったね、思いが通じたね、と。

ところが合格発表の時、てっきり一緒に祝ってくれると思っていた麗ちゃんと連絡が取れなくなってしまいます。
不思議に思っていたら、通りすがりの女の子たちが主人公に「頑張ってくださいね」「感動しました」などと声をかけていきます。
麗ちゃんはテレビ番組でいきさつを語り、主人公にメッセージを残して、父親の住むイタリアへ留学に旅立って行ったのです。
一年後に二人の思い出のこの駅(江ノ電鎌倉高校前)に戻ってくると。

鎌倉高校前 画像

二年越しに志望校に入って、すっかり真人間になった主人公は、一年後に思い出の駅に向かい、一日待ちますが麗ちゃんは現れず…
それから学生時代ずっと、一日たりとも麗ちゃんを忘れずにいた主人公ですが、就職が決まったある日、渋谷駅で思わぬ人物から声をかけられます。
そして大団円。。。

どうして一年後に麗ちゃんが駅に現れなかったのか、そしてどうして麗ちゃんは気持ちと裏腹の行動をとったのかなど、作品の中では触れられないままですが、ここまでの過程が長かった分、エンディングではたくさん泣けました。

決して万人向けではないと思いますが、良い意味で期待を裏切られた作品でした。

2011年01月02日

みんカラ初出
著:遊人
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この記事を書いた人

ITの世界の片隅で過ごして早30年になりますが、この20年近くはほぼマネジメントしてます。
興味の幅は浅く広く、一旦興味を持ったらかなり深く追及するタイプです。
現在過去未来の由無し事をゆるりと書き連ねたいと思ってます。

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